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「Leica M4」をフルレストアする

  • fukkokudo
  • 2022年2月15日
  • 読了時間: 6分

当工房会員様よりフルレストアカスタムオーダー案件頂きました。

案件内容は下記の通りです。


「10年程前に購入した後塗りブラックペイントのM4が有るが、塗装の仕上りに満足出来なかった。

おまけにピンボケの写真しか撮れない、外装のみならず機能面でも満足出来ないので防湿庫にお蔵入り。

何とかフルレストアして気持ちよく使えるレベルに再生することが可能だろうか?」

レストアに際してのご希望カラーリングは、「ダークオリーブXブラック/マットフィニッシュ」

当工房はお客様の理想を具現化する事をやりがいにさせて頂いておりますので、とても興味深くも有り、喜んで引き受けさせていただきました。


例のM4が当工房に入庫いたしました。

入庫時のお姿です。

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パッと見はなんですが・・・。

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じっくり眺めていくと・・・。

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何やら表面に多数のぶつぶつが確認出来ます。

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塗装膜が分厚く刻印部もにじんで鮮明ではありません。

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ラッカースプレイで塗装されたのでしょうか?

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刻印部の再現性があまり良くありません。

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お客様はこの仕上り状態にはとても満足しておられず、当工房にフルレストアカスタムオーダーを頂きました。


ではレストア作業の開始です。

まずは全パーツ分解してみて下地処理がどのようにされているのか?

とても興味が有るところです。

既存のブラックペイントを剥離剤で剥がしてみます。

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既存のブラックペイントが綺麗に剥離できました。

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表面は擦り傷だらけで、ニッケルメッキの残存物も多数見られます。

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ヘアラインのような、やすりで擦って剥がしたメッキ表面に深い擦り傷が多数見られます。

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塗装してしまえば見えないところなので、こういう風にされたのでしょうか?

粗っぽいお仕事です。

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刻印部にはしっかりニッケルメッキの残存物が残っています。

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やすりで擦られまくっているので、表面が歪んでいます。

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左右の歪解るでしょうか?

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オペレーションパーツも例外なく無残なお姿になっています。

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表面傷だらけです。

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刻印部にはしっかりニッケルメッキが残っています。

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ブラックペイントを専用の塗装剥離剤で剥がしました。

地金真鍮母材が露になりました。

何と言う事でしょう?!

ベースのニッケル・クロームメッキが専用の剥離剤で剥離される事無く、やすりで擦って剥がしたメッキ表面が露になりました。

元のパーツがやすりで傷だらけになっているのがよく解ります。

また、大部分でニッケル・クロームメッキがやすりで擦れない部分が残存しているのがよく解ります。

これでは丁寧な仕事とはとても言えず、なかなか荒っぽいお仕事の様です。

この状態でそのまま再塗装しても綺麗な仕上りにはなりません。

塗装は下地で全てが決まります。

なので、綺麗に仕上げたいので、もう一度パーツ一点一点すり傷を修復して表面処理からやり直します。

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上記写真で外されているリングがあります。

このリングは本来外す必要のないリングパーツです。

やすりで擦る為に邪魔になって外されてしまったパーツリングです。

元に戻す際に元通りカシメて取り付けられることなく接着剤で付けられておりました。

とても可哀想なM4です。

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まずトップカバーのやすり傷を丁寧に修復します。

次に外されたリングパーツをロウ付けで取り付け固定します。

続けて、歪んでがたがたになった表面を、真っ直ぐに・平らに・垂直に・綺麗な曲線に、形を整えます。

最後に残存していたニッケルメッキを最大限ブラスト加工で剥離し、塗装前の下地処理を実施します。

本来は、ニッケル・クロームメッキは一番最初に専用の剥離剤でオペレーションしながらベストな状態で剥離を行います。

やり過ぎると真鍮母材を溶かしてしまい傷めてしまうのです。

なので、やすりで擦って剥がされた真鍮母材むき出しのパーツを残存メッキが有るからと言って、再度ニッケルメッキ剥離剤に浸ける事は出来ないのです。

残存メッキを剥離している間にむき出しとなった真鍮母材が溶けてしまい刻印部が無くなるからです。

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綺麗に整えられた表面

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平らに真っ直ぐに綺麗な曲線、エッジもしっかり再現されています。

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やすりによる擦り傷は綺麗に修復され刻印部も綺麗に再現されています。

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各パーツ一点一点やすり傷を修復し、ブラスト加工で塗装前の表面処理を行いました。

概ね綺麗に修復できましたが、深く入り込んだやすり傷は修復し切れない物も有ります。

とても残念ですね。

塗装前の下地処理が完了しましたので、次は塗装工程に入る前に、塗装治具にセットと脱脂工程が有ります。

ここは当工房の秘密なので画像掲載は有りません。

塗装工程に入ります。

今回のオーダーは「ダークオリーブXブラック/マットフィニッシュ」です。

各パーツの塗装仕上りです。

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塗装膜の歪も無く刻印部の墨入れも鮮明に綺麗に入っています。

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こういった樹脂パーツも例外なく表面処理し直し、焼付塗装し直します。

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マットフィニッシュがとても上品な仕上りです。

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各パーツの塗装・墨入れ・新品交換パーツ組み付けが

完了しました。

上記の写真は、ビューファインダー窓・レンジファインダー窓を新品マルチコーティングガラスに交換しております。

採光窓フレネルレンズも新品に交換しております。

これで外装パーツのレストア作業は完了です。

次は内部ボディメカニック機構のオーバーホールクリーニング作業です。

まず、ファインダーブロックのオーバーホールクリーニング作業です。

下記画像は取り外したフレームマスクです。

かなり汚れています。

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このパーツはかなり重要です。

ブライトフレームや二重像のフレームマスクでガラスでできています。

3重構造になっていて汚れやカビが付着しやすいです。

これが汚れていると、ファインダーを覗いた時に不快な塵や埃による黒点や曇りや視認性がとても悪くなります。

なので、ファインダーブロックごと、各パーツ単位になるまで分解し綺麗に洗浄します。

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綺麗に生まれ変わったフレームマスク

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綺麗に洗浄後遮光剤を再塗布します。

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クオリティが保持されたオリジナルコーティング膜

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ファインダーブロック綺麗に再生出来ました。

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ファインダー光学パーツは綺麗に洗浄し、汚れやカビ・塵・埃を除去しました。

遮光剤も再塗布して組み上げます。

視認性が向上しクリアーにハッキリ見えるのがよく解ります。

覗いた時の不快な曇りや塵や埃による黒点が一切ありません。

二重像もハッキリしておりピント合わせが容易です。

次にシャッター幕交換です。

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シャッターリボンと幕軸ごとボディ本体から取り外し、新しいシャッター幕ユニットを生成します。

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新品シャッター幕取り付け完了です。

次に先に完成したファインダーブロックとボディ機構を組み付け内部ボディメカニック機構の完成です。

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内部ボディメカニック機構の完成体です。

これで外装パーツとメカニック機構が完成し全てのパーツが揃いました。

いよいよ最終組み立て完成です。

組み付け途中の画像は省略します。

完成品画像ご覧ください。

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ダークオリーブXブラック/マットフィニッシュ レストア完成

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如何でしょうか。

気持ちよくお使い頂ける状態にレストア完成です。

ご興味ある方いつでもお問い合わせくださいませ。

真心こめてメンテナンスさせて頂きます。


 
 
 

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